土質安定処理
土中の粘土鉱物と石灰が化学的に反応して硬化する
性質を利用した土質安定処理工法の一つです。
性質を利用した土質安定処理工法の一つです。
またこの工法により建設工事に伴う残土処分の問題を解決し、
運搬車両の交通台数を最小にとどめるなど、
合理的であり経済的にもすぐれています。
運搬車両の交通台数を最小にとどめるなど、
合理的であり経済的にもすぐれています。
◆効果
1.含水比の低下
生石灰は土中の水分と反応して消石灰を生成します。
CaO + H2O → Ca(OH)2 + 280kcal/kg
この反応によって生石灰質量の32%の水分が消費され、含水比は低下します。また、反応時に発熱して水分を蒸発させるとともに土の温度が上昇し、石灰と土の結合作用を促進させます。
生石灰は土中の水分と反応して消石灰を生成します。
CaO + H2O → Ca(OH)2 + 280kcal/kg
この反応によって生石灰質量の32%の水分が消費され、含水比は低下します。また、反応時に発熱して水分を蒸発させるとともに土の温度が上昇し、石灰と土の結合作用を促進させます。
2.塑性の低下
微細な土粒子の多くは、負に帯電して互いに反発しています。この状態に石灰を添加すると、石灰中のカルシウムイオン(Ca2+)が土粒子を結合して粒子間 の反発力は弱くなります。このため土粒子は集まって大きくなり、土性が改善されます。
微細な土粒子の多くは、負に帯電して互いに反発しています。この状態に石灰を添加すると、石灰中のカルシウムイオン(Ca2+)が土粒子を結合して粒子間 の反発力は弱くなります。このため土粒子は集まって大きくなり、土性が改善されます。
3.ポゾラン反応による強度の増加
カルシウムイオンを結合した土粒子は、アルカリ雰囲気中でさらに石灰と反応して安定した結晶鉱物を生成します。この反応はポゾラン反応と呼ばれ長期にわたって進行します。そして反応生成物は結合体となって土の強度を増加させます。
カルシウムイオンを結合した土粒子は、アルカリ雰囲気中でさらに石灰と反応して安定した結晶鉱物を生成します。この反応はポゾラン反応と呼ばれ長期にわたって進行します。そして反応生成物は結合体となって土の強度を増加させます。
4.炭酸化反応による強度増加
石灰が土中の炭酸や炭酸ガスと反応して固結化する反応です。
Ca(OH)2 + H2CO3 → CaCO3 + 2H2O
石灰が土中の炭酸や炭酸ガスと反応して固結化する反応です。
Ca(OH)2 + H2CO3 → CaCO3 + 2H2O
◆対象土と処理材
石灰による安定処理は、細粒分を多く含んだ土に効果があります。
●生石灰・・・粘性土や火山灰土のような細粒で高含水比のものに適しています。
●消石灰・・・礫質土のような低含水比のものに適しています。
※湿潤消石灰は消石灰に水を2割程度加え、粉塵の発生を抑えた石灰です。
※湿潤消石灰は消石灰に水を2割程度加え、粉塵の発生を抑えた石灰です。
●サイクロンライム・・・生石灰をベースにしてポゾラン材を添加した製品です。
高含水比の有機質土等の土質改良に適しています。
高含水比の有機質土等の土質改良に適しています。
◆土質安定石灰
●荷姿
散、フレコン(生石灰1t、サイクロンライム1t、消石灰500㎏)、20kg
●種類
種類
| 性状
| 品 質
| |||
CaO(%)
| CO2(%)
| 不純物(%)
| 活性度
| ||
生石灰
| 1~5
| 95.0
| 1.0
| 0.8
| 大
|
5~25
| 96.0
| 1.0
| 0.8
| 大
| |
消石灰
| 乾燥
| 73.5
| 0.6
| -
|
◆物理的性質試験
1.土粒子の密度試験
土粒子の密度は、土中の水分と空気を除いた固体部分の単位体積質量で表します。
この試験結果を用いて、土の間隙比、飽和度などを求めます。
この試験結果を用いて、土の間隙比、飽和度などを求めます。
2.含水比試験
含水比は、110℃の乾燥によって失われる土中水質量の、土の乾燥質量に対する比を百分率で表したものです。
含水比の種類としては、自然含水比(自然状態の土)や最適含水比(締固めが最も良くできるように含水量を調整した土)などがあります。
含水比の種類としては、自然含水比(自然状態の土)や最適含水比(締固めが最も良くできるように含水量を調整した土)などがあります。
3.粒度試験
土粒子の粒度分布を求める試験です。
この試験により、土の分類を行い、支持力特性を推定します。
この試験により、土の分類を行い、支持力特性を推定します。
4.コンシステンシー試験
コンシステンシー試験は、含水量による土の状態の変化や変形のしやすさを数値で表すものです。
含水比が非常に高いと液状になり、含水比が低下するにつれて、塑性体、半固体、固体と変化します。このような各状態の遷移点を含水比で表したものをそれぞ れ液性限界、塑性限界、収縮限界とよび、土の性質を把握するために利用されます。
なお、塑性指数(PI)とは、液性限界と塑性限界との差で、一般に数値が高いはど吸水による強度低下が著しいとされています。
含水比が非常に高いと液状になり、含水比が低下するにつれて、塑性体、半固体、固体と変化します。このような各状態の遷移点を含水比で表したものをそれぞ れ液性限界、塑性限界、収縮限界とよび、土の性質を把握するために利用されます。
なお、塑性指数(PI)とは、液性限界と塑性限界との差で、一般に数値が高いはど吸水による強度低下が著しいとされています。
◆力学的性質試験
1.締固め試験
土をある一定の方法で締固めたときの含水比と乾燥密度の関係から、最大乾燥密度と最適含水比を求めます。この試験結果は、盛土等の締固めの程度と施工含水比を規定するための基準値として利用します。
2.一軸圧縮試験
側圧を受けない状態で自立する供試体の最大圧縮応力を求めます。この試験は数多くの試料を試験するのに適していて、試験結果は粘性土地盤の基礎、斜面掘削面、擁壁などの安定の計算に用います。
3.CBR試験
側圧を受ける状態での土の支持力の大小を判定するために行う試験です。試験結果は路床や路盤材強度評価値として広く利用されています。
◆原位置試験
1.ポータブルコーン貫入試験
トラフィカビリテイ(軟弱地盤における建設機械の走行性)の判定のために行う試験です。コーン指数(単位面積当たりの貫入抵抗、単位はkgf/cm2)を求めて簡易に原位置の強さを判定する方法です。
※試験結果が出るまで2週間程度かかります。(ポータブルコーン貫入試験を除く)
◆施工例
1.路床、路盤の安定処理
2.盛土材の改良
3.ヘドロ等の固形化
4.軟弱地盤のトラフィカビリティ改善
5.駐車場・運動場の安定処理
6.その他土質改良
2.盛土材の改良
3.ヘドロ等の固形化
4.軟弱地盤のトラフィカビリティ改善
5.駐車場・運動場の安定処理
6.その他土質改良
◆施工上の留意点
●降雨水、留水は十分排水できるようにして混合、締固め作業中、冠水する事のないようにして下さい。
●混合むらの生じた場合は再度混合して下さい。
●生石灰の消化時間は土の含水比、混合度合、および外気温などにより一定ではありませんが4~12時間程度かかります。
●混合後、土質のバラツキ等により部分的に所定の強度が得られない箇所が生じた場合、養生初期のうちにすみやかに再混合を行って下さい。
●締固めが終了した処理面は必要に応じて所定の強度が得られるまで養生を行います。土質によって養生期間中の強度の伸びに違いはありますが、およそ3~7 日間を目途として、その間は重車両の通過によって乱されることのないようにしてください。
●混合むらの生じた場合は再度混合して下さい。
●生石灰の消化時間は土の含水比、混合度合、および外気温などにより一定ではありませんが4~12時間程度かかります。
●混合後、土質のバラツキ等により部分的に所定の強度が得られない箇所が生じた場合、養生初期のうちにすみやかに再混合を行って下さい。
●締固めが終了した処理面は必要に応じて所定の強度が得られるまで養生を行います。土質によって養生期間中の強度の伸びに違いはありますが、およそ3~7 日間を目途として、その間は重車両の通過によって乱されることのないようにしてください。
◆フレキシブルコンテナ詰生石灰の仮貯蔵
フレコンの底部から水が浸透しないように床をかさ上げして、下図のように全体を防水シートで覆い、
安全を期して下さい。
安全を期して下さい。