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「しっくのん」及び「しっくのんA」は、普通の合成樹脂エマルジョンペイントとは異なり、消石灰などの粒子が主原料です。このため、塗膜の重なり部分がムラとなりやすく、塗膜が多孔質になるため吸水性が大きく、塗り重ねる場合は塗りにくくなります。 以下留意点として、
1.塗り伸ばし
ローラーに塗料を十分含ませて塗り伸ばしますが、力を入れて搾り出すような伸ばし方は避けて、
軽く無理なく伸ばせる程度で止めて下さい。塗りムラの原因となります。
2.同一面の塗装
区画された同一面は休まずに塗装して下さい。途切れるとその部分が塗膜厚さのムラになります。
3.水による希釈
原則無希釈で使用します。但し、気象条件等で塗りにくい場合には、1~2%の水で希釈して下さい。
希釈しすぎると下地の隠蔽性が低下したり、色ムラ・塗膜剥離の原因となりますので注意してください。
また、希釈後は中身が均一になるようしっかり攪拌して下さい。
4.一旦下地が透けて色が出る(色の上りが遅い)
塗装前は少し濃い色をしていますが、塗装すると一旦下地が透けてまだら模様のように見えます。
乾燥するにつれて少しずつ色が出てきて所定の色になります。ご留意下さい。
5.撹拌
缶の蓋を開けたら原料が分離していたり、粘度が高くなっている場合があります。
撹拌機で中身が均一になるよう十分撹拌をして下さい。
棒切れでも大丈夫ですが、最低でも2~3分以上はかき混ぜて下さい。
缶を抱えて振るだけですと中身は十分に撹拌されません。
撹拌が不十分な場合、色ムラや塗膜剥離の原因となります。
*しっくのんは空気中の二酸化炭素を吸収して硬化しますので、塗料をバケットに移したらすぐに蓋を閉めて下
さい。
塗装を一時中断する際は、バケットに塗料が残っていたら、ラップかビニール付きのマスキングテープでバケ
ットを覆って、空気に触れさせないようにして下さい。
養生テープを剥がす時はテープに付着した(硬化した)塗料がパラパラと落ちてきますのでご注意下さい。
*しっくのんは消石灰、炭酸カルシウム、還元澱粉糖化物などの自然素材を原料としており、下地の状態や塗り
方、気象条件などによっては、ローラーの筋ムラが見えたり、ジョイント部にクラックが発生する場合があり
ます。ご了承下さい。
*白華(白化)現象について
しっくのんの塗膜に触れると白い粉が付くことがあります。
これは漆喰の「白(はっ)華(か)」という現象で、漆喰の乾燥途中に水分が蒸発しきれずにずっと残り、
水に溶けた石灰分が表面に出てきた現象です。冬場や梅雨時に起きやすく、乾燥不良が主な要因です。
*気象条件
① 炎天下での施工は、塗装ムラの原因となりますので避けて下さい。
② 夜間気温が0℃以下になることが予想される場合は、できるだけ日中の早い時期に施工を終了させ、乾燥時
間が取れるようにして下さい。
また、気温が5℃以下での施工はお勧めしません。乾燥の遅れによる色ムラや白華の恐れがあります。
湿度が高い日の施工もお勧めしません。
特に入隅など空気の流れが悪い場所は乾燥が遅れてシミのようになる場合があります。
③ 気温15~30℃、湿度40~65%が最適です。
④ 施工時、施工後は換気を促して下さい。(ただし、ドライヤーなどで強制乾燥することは避けて下さい。急
激な乾燥により表面にクラックが起きる場合があります。)
しっくのんは自然素材で出来ておりますので、下地の状態が良くないと仕上がりに影響が出ます。
以下の点には特に留意して下さい。
・しっくのんは塗装後二酸化炭素と反応して硬化しますので、躯体のちょっとした動きでクラックが入る場合が
あります。
・蓋を開けたら十分に攪拌して下さい。不十分なまま塗装をすると、成分が下に沈殿したままとなり、上澄み液
を塗ってしまい、結果塗膜が剥がれる場合があります。
・下塗りの水性シーラー・プライマーはメーカーが記載している乾燥時間より長く取って下さい。乾燥不足のま
ましっくのんを塗ると、黒ずんだシミが残ったり、接着不良により塗膜が剥がれることがあります。
・冬場と梅雨時は特に施工に注意して下さい。冬は5℃以下での施工は避けて下さい。梅雨時に湿気が極端に
高い時は施工しないで下さい。いずれも乾燥が遅れて湿ったようなシミになります(特に空気の流れの悪い
入隅など)。
・既存の壁(クロスやじゅらく壁など)に塗る場合は、下地の状態を良く確認して下さい。手で触ると下地がポ
ロポロ剥がれ落ちたり、あるいは剥がれている場合は、パテ等で補修をするかすべて剥がしてから施工して下
さい。